a16zパートナー：ステーブルコイン通貨の "WhatsAppモーメント"

Author: Chris Dixon, Founder of a16z Crypto; Translated by Golden Finance xiaozou

インターネットは情報の自由な流れとグローバル化を可能にした。しかし、なぜ資金移動はこれまで困難で高コストなままなのだろうか？

インターネットは初期に、許可なく出版、創作、取引ができる未来を約束した。電子メールやワールド・ワイド・ウェブなどのオープンニュートラルなプロトコルは、創造性、革新性、起業家精神を爆発的に刺激しました。しかし、その発展の過程で、私たちはそこから遠ざかってしまった。

今日のグローバルな金融システムは、中央集権的で閉鎖的、そして抽出的な企業ネットワークのパッチワークである。販売端末、決済処理業者、アクワイアラー、発行業者、地方銀行、コルレス銀行、外国為替プラットフォーム、カード組織などが互いに重なり合い、搾取し、遅延を悪化させ、ルールを押し付けているのだ。これらのネットワークは商取引に不必要な「税金」を課し、イノベーションを阻害し、中立的な金融パイプラインであるべきものを摩擦の多いボトルネックに変えてしまう。

米ドルなどの安定した資産に固定された暗号通貨であるステーブルコインは、その答えだ。インターネットの始まりを通貨システムに戻す、システムリセットのようなものだ。

1.ステーブルコインの破壊的な機会 現在の決済システムはインターネットのために構築されたものではなく、手数料ベースの仲介業者（かつては地域の協力、詐欺、業務を管理するために必要だった）に満ちた旧世界のために設計されたものだ。今日でさえ、国際送金手数料は10％にも上る（2024年9月、200ドルの送金で平均6.62％）。我々が受け継いだシステムは、遅く、不透明で、排他的であり、何十億もの人々がグローバルな金融システムに完全にアクセスできないまま、あるいは完全に孤立したままになっている。

伝統的な決済の非効率性は、多くの企業にとっても同様です。メキシコからベトナムへのB2B決済は、決済に3～7日かかり、手数料は1,000ドルの取引につき14～150ドルで、最大5つの利益分配仲介業者が関与します。Stablecoinは、SWIFTのような伝統的な国際ネットワークと関連する決済プロセスを回避し、このような取引を実質的に無料で瞬時に行うことができます。

これは単なるペーパーエクササイズではありません。スペースXはすでに、企業資金の管理（アルゼンチンやナイジェリアなど、通貨の変動が激しい国からの送金を含む）にステーブルコインを使用しており、ScaleAIなどの企業は、世界中の従業員への給与支払いをより迅速かつ安価に行うためにステーブルコインを使用しています。B2Cの分野では、暗号決済を広く利用できるようにした最初のサービス・プロバイダーであるStripeの決済率はわずか1.5％で、従来の金融機関の半分である。a16 Cryptoのパートナーであるサム・ブローナーが示すように、粗利益率わずか2％の食料品店では、1.5％のコスト最適化で純利益が倍増する可能性がある。(取引手数料は、競争の激しいブロックチェーン主導の市場ではさらに下がると予想される）。

孤立して発展した旧来の金融システムとは異なり、ステーブルコインは本質的にグローバルだ。ブロックチェーン、つまりオープンにプログラム可能なネットワークに基づいているため、国境を越えて何十もの銀行を調整する必要がなく、ネットワークにアクセスするだけで、誰でもその構築に参加できる。2024年のステーブルコイン決済額は15.6兆ドルで、VISAと同レベルだ。主に金融の流れ（リテール決済ではない）を反映しているとはいえ、その規模は、金融インフラ変革の転換点に立っていることを示している。

私たちは、真にインターネットネイティブで、ストライプが言うところの「金融サービスのための常温超伝導体」、つまりエネルギーを損失なく伝達するのではなく、価値を損失なく伝達する新しいシステムを構築することになるでしょう。

メッセージングサービスの進化を思い出してほしい。WhatsApp以前は、国境を越えたメッセージングには1通あたり0.30ドルかかり、配達率も悪かった。WhatsApp以前は、国境を越えたメッセージのやり取りには1通あたり0.30ドルかかり、配信率も低かった。国境によって分断され、中間業者によって重くのしかかり、人工的な参入障壁がある。

ステーブルコインは根本的な代替案を提供する。不便で高価な時代遅れのシステムを寄せ集める代わりに、グローバルなブロックチェーン上でシームレスに直接流れる。これらのシステムはプログラマブルでコンポーザブルであり、国境を越えて拡張できるように設計されている。Stablecoinは送金コストを劇的に削減した。米国からコロンビアに200ドルを送金する場合、従来の方法では12.13ドルかかるが、Stablecoinではわずか0.01ドルだ（Stablecoinの現地通貨への交換手数料はわずか0.01ドル）。(ステーブルコインの現地通貨への両替手数料は高くて5%、安くて0%で、競争により下がり続けている)

WhatsAppが高額の国際電話を破壊したように、ブロックチェーン決済とステーブルコインは世界的な送金の形を変えつつある。

3.規制：ボトルネックからブレークスルーへ 障害と見なされがちだが、賢明な法整備がそれを解く鍵である。

ステーブルコインと暗号市場構造に対する明確な規制の枠組みは、最終的に技術をサンドボックスから大量導入へと押し上げるだろう。DeFiが何年も「暗号内輪」経済から抜け出せずにいるのは、ツールが役に立たないからではなく、規制によって伝統的な金融チャネルを通過するのが難しくなっているからだ。

好転の兆しはここにある。政策立案者たちは、米国の競争力を維持し、消費者を保護し、イノベーションを促進するバランスを取るルールに積極的に取り組んでいる。例えば、サイバートークンとセキュリテ ィートークンを区別する枠組みは、悪質な行為から守ると同時に、構築者に明確なガイドラインを提供することになる。今後予定されている規制法案は、より広範な採用への道を開くかもしれません（本稿執筆時点では、議会によって詳細が決定されています）。

4.包括的な公共財の構築 伝統的な金融が私的で閉じたネットワーク上に構築されていたのに対し、インターネットはTCP/IPのようなオープンなプロトコルがグローバルなコラボレーションとイノベーションを促進する力を示してくれました。

ブロックチェーンはインターネットのネイティブな金融層であり、公共プロトコルの複合性と民間企業の経済的ダイナミズムを兼ね備えています。ブロックチェーンは、信頼できる中立性を持ち、監査可能で、プログラム可能です。ステーブルコインと重ねることで、私たちは初めて、かつてないほどオープンな通貨インフラを手に入れることができるのです。

それは高速道路システムのようなものです。民間企業は依然として車を作り、ビジネスを行い、道沿いに施設を建設することができますが、道路自体は中立でオープンなままです。

ブロックチェーンとステーブルコインは手数料を削減するだけでなく、新しいソフトウェアパラダイムを生み出す。- コンテンツ制作のマイクロペイメント：ルールを設定し、スマートウォレットが音楽、メディア、AIへの貢献の支払いを自動的に分配する。- 完全に監査された透明性の高い支払い：政府の支出追跡システム。- 仲介者のいないグローバルな商取引：ほぼゼロコストで即時に国際決済が可能（すでに実現）。

テクノロジー、市場の需要、政治的な意志は、ブロックチェーンとステーブルコインをブレイクの瞬間とするために集結しつつある。初期のインターネット・スタートアップが、通信大手や著作権弁護士によってブロックされないことが明らかになった後にブームになったように、暗号産業は、金融実験からインフラの柱へと変貌を遂げ、キャズムを超えようとしている。

古いシステムを修正する必要はない。私たちは新しく、より良い世界を作ることができるのです。